夫とは何から何まで考え方が違う。
借金を何とも思わない夫と、借金が大嫌いな私。
お金に関してはもちろんのこと、子供の教育に対しても全く考えが違う。
まず塾に関して。はっきり言って我が家に塾に通わせる金銭的な余裕はない。
それでも夫には塾に通わせないという選択肢はない。 今でも良い大学に入って良い会社に就職する、それが一番だと思っている。
私自身がそんな環境で育ってきた。祖母が人目を気にするタイプで、近所の同級生の男の子とよく比較されて育った。 ○○くんは何点だったんだって。○○くんは学年で何番だったんだって。良い高校に入って、良い大学に入って、大きな会社に就職できればいいね。毎日そんなことを言われて、育った。そして、モヤモヤしつつも自分の意見を主張することもなく、それに従って大学に入り、就職した。親にはかなりの金銭的な負担だったろう。何も文句を言わず学費を捻出してくれた両親には感謝の気持ちしかない。それでも、その学生生活にほとんど意味を見出せずにいた。
人からの評価ばかり気にして、本当に自分のやりたいことがわからなかったのだ。
就職活動が迫った大学3年の終わり頃、一念発起して海外に語学留学することを決めた。これは数少ない私の本当にやりたいことの一つだったかもしれない。自分で決めて自分で行動するということ、そんな当たり前のことを今まで一度もしてこなかった。 そしてこの行動が、今後の自分の考え方に非常に影響を与えたのだ。
当時の大学4年生といえば、リクルートスーツに身を包み、会社研究、会社訪問をするというのが主流だった。このまま自分もこの流れに乗るのか、と思うとどうしても耐えられなかった。スーツを着て満員電車に乗り、毎日朝から晩まで会社で働く。そんな毎日にあと少しでなるのだ、と思うと本当に嫌気がさしていた。何か変わるきっかけが欲しかったのだと思う。
そして、留学先で自分がいかにちっぽけな存在であるかということに気づいた。多様性を身近で感じることができた。「良い会社に就職すること」を目指す人だけではなく、様々な夢を持つ人に出会うことができた。
帰国後も、まだ自分の本当にやりたいことは見つからず、時間だけが経過していった。卒業したら、どこかの会社に就職しないと、という親の思いをプレッシャーに感じ、一旦ある企業に入社した。満員電車こそ乗らずに済んだが、どんな時でも毎朝出社して、夕方5時半まで会社にいる、という生活を4年ほど続けた。
そんなある日、このままではダメだという思いとともに、会社を辞め、医療系の資格の取れる専門学校に入学することを決めた。留学に続いて、これが自分で決めて自分で行動した2つ目のことだった。
そして、その時から20年ほど経過した今、やはり自分で決めて実行した2つのことは、自分の人生に大きな影響を与えている。
それに対して、人に言われてなんとなく入学した学校、親からのプレッシャーで入社した会社での日々にはあまり意味を見出せていない。
このことからも、子どもに「良い会社に入って、良い会社に就職しなさい」なんて言いたくないのだ。それよりも、人生の早い段階から自分のやりたいこと、好きなことを見つけるということを大切にして欲しい。
だから、子どもが自分で大学に入りたいと思えば、そのために勉強が必要ならやればいいし、そのために塾にいく必要があると子ども自身が判断したのなら、なんとか塾代を捻出しなければ、と考えるだろう。
だけど、今の状況は違う。こちらが全てお膳立てして、子どもたちは人形のように、夫の思いに動かされているだけのように思えてしまう。
何が正解なのかは今はわからない。でも、もう少し本人たちが自分で考えるということを大切にしなければならないのではないか、と日々感じている。